サラリーマン讃歌
解りきったことを言わせるな、と云わんばかりの表情をしながら俺を見ている。
「田仲にまたネチネチ絞られたのか?」
俺の直属の上司である田仲は、俺たちと同期でもあり、その中でも一番の出世頭である。
上のものにも信頼が厚く、営業成績も群を抜いている。三人とも中途採用でありながら、偶然にもほぼ同じ時期に入社していた。
そんな横一線からのスタートではあったが、入社当時から常にトップクラスの成績を叩きだし、既に課長までになっていた。
まだ係長である俺は、事ある毎に田仲に叱責を受けていた。
「……いや」
「じゃ、何?」
いつになく高嶋が突っ込んでくる。
「あのさ……」
「うん?」
「気になる子が出来た」
「気になる子?気になるって……好きな奴が出来たってことか?」
高嶋が驚いた様に若干身を乗り出してくる。
「……まあな」
「なんだ!良かったじゃん!そうか、直哉もとうとう前に進めたか?なんだよ、そんな事ならもったいぶるなよ」
高嶋は相好を崩すと、心底嬉しそうに喜んでくれた。
と言うのも、約四年前に離婚した俺は恋愛に関しては非常に臆病になっていた。そう、俺はバツイチだった。
「田仲にまたネチネチ絞られたのか?」
俺の直属の上司である田仲は、俺たちと同期でもあり、その中でも一番の出世頭である。
上のものにも信頼が厚く、営業成績も群を抜いている。三人とも中途採用でありながら、偶然にもほぼ同じ時期に入社していた。
そんな横一線からのスタートではあったが、入社当時から常にトップクラスの成績を叩きだし、既に課長までになっていた。
まだ係長である俺は、事ある毎に田仲に叱責を受けていた。
「……いや」
「じゃ、何?」
いつになく高嶋が突っ込んでくる。
「あのさ……」
「うん?」
「気になる子が出来た」
「気になる子?気になるって……好きな奴が出来たってことか?」
高嶋が驚いた様に若干身を乗り出してくる。
「……まあな」
「なんだ!良かったじゃん!そうか、直哉もとうとう前に進めたか?なんだよ、そんな事ならもったいぶるなよ」
高嶋は相好を崩すと、心底嬉しそうに喜んでくれた。
と言うのも、約四年前に離婚した俺は恋愛に関しては非常に臆病になっていた。そう、俺はバツイチだった。