サラリーマン讃歌
俺の相変わらずのいい加減さに、今度は久保が笑う番だった。
「……忘れた。じゃ、今週末お祝いで飲みに連れて行ってやるよ」
「マジっすか。ありがとうございます」
「いいよ、いいよ。可愛い後輩が出世したんだから、こんな嬉しい事はないだろう」
「あっ、それと後ひとつ報告があります」
「なんだ、なんだ。梓ちゃんと結婚でもするのか?」
茶化す様に俺が言った。
「違いますよ。俺、会社辞めましたから」
「はっ?」
「会社辞めました」
久保が同じ言葉を軽い口調で繰り返した。
「……何で?だってお前、来月主任になるんだろ?」
久保の言葉に俺は驚き、そして戸惑った。
「だからこそ辞めたんです。一人前の証明をしたかったから」
「……誰に?」
「貴方達ですよ。当たり前じゃないっすか」
まさかそこまで久保が真剣に考えていると思っていなかった俺は、大きな驚きと共に嬉しさも込み上げてきた。
「俺、あれから色々考えました。桜井さんに言われた事を。一時の感情に流されてるだけだって言われた事を。で、主任になった時にまだ桜井さん達と一緒に仕事がしたい気持ちがあるなら辞めようって決めてたんです」
「……マジで辞めたの?」
「……忘れた。じゃ、今週末お祝いで飲みに連れて行ってやるよ」
「マジっすか。ありがとうございます」
「いいよ、いいよ。可愛い後輩が出世したんだから、こんな嬉しい事はないだろう」
「あっ、それと後ひとつ報告があります」
「なんだ、なんだ。梓ちゃんと結婚でもするのか?」
茶化す様に俺が言った。
「違いますよ。俺、会社辞めましたから」
「はっ?」
「会社辞めました」
久保が同じ言葉を軽い口調で繰り返した。
「……何で?だってお前、来月主任になるんだろ?」
久保の言葉に俺は驚き、そして戸惑った。
「だからこそ辞めたんです。一人前の証明をしたかったから」
「……誰に?」
「貴方達ですよ。当たり前じゃないっすか」
まさかそこまで久保が真剣に考えていると思っていなかった俺は、大きな驚きと共に嬉しさも込み上げてきた。
「俺、あれから色々考えました。桜井さんに言われた事を。一時の感情に流されてるだけだって言われた事を。で、主任になった時にまだ桜井さん達と一緒に仕事がしたい気持ちがあるなら辞めようって決めてたんです」
「……マジで辞めたの?」