サラリーマン讃歌


「ううん……何でもない」

泣きそうな顔しながら、何でもないと言われてもあまり説得力がなかった。

「何でもないから……ほんとに……」

そう言いながら俺を見てくる目には、涙が溜まっている様に見えた。

そんな亜理砂を、俺は困った様な顔で見詰める事しか出来なかった。

「よし!今日は飲むか!!」

亜理砂は大きく深呼吸すると、自分自身に気合いを入れるように突然大きな声で喚いた。

俺はふと亜理砂の俺への思いというのが頭を過ったが、言葉が見付からずただ頷く事しか出来なかった。

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