サラリーマン讃歌
河野に初めは体を強要されたけど、その内に好きになったって嘘をついて……

サクくんは良き相談相手っていうことにして。

嘘でも河野が好きなんて事は言いたくなかったんだけど、父を納得させる為にはそうやって言うしかなかったの。

サクくんの事が好きって言ったところで、父は昔気質な人でもあるから、学生時代での男女交際なんて絶対に認めてくれないだろうし。

サクくんとの年齢差もあるし(笑)

だから、これが一番良いと思ったの。

河野の奴にも天誅を加えられるしね(笑)

でね、私気付いたのね。

父に話をしている時に、この事を誰に一番知られたくなかったかを……

父じゃなかった。

私はサクくんに知られたくなかったんだって。

……愛する直哉に絶対に知って欲しくなかった。

でも……父に知られた以上、それは叶わぬ願いみたい……

泣いて父に「事を公にしたくない」って頼んでみたんだけど、駄目だった。

最初からわかってたけどね……

……だから、私はこの家を出て行こうと思うの。

間違っているのかもしれないけど、私にはこうするしかなかった。

父と決別する為にも……

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