サラリーマン讃歌
『よっしゃ、わかった。ちゃんと伝えておくわ』
岡本が空見子の写メを見た後も、独り舞台さながらにその時の場面を再現してくれたのだ。
この話を聞いた後、直ぐに久保達が空見子の実家に向かってくれたのだが、一足遅かったようだ。
おそらく、岡本と出会った時には既に実家で用事を済ませた後だったのだろう。
今夜、何処に空見子は泊まっているのだろう?
まだ、高校すら卒業していない彼女が一体どうやって生活しているのだろう?
様々な疑問が頭を擡げたが、考えたところで答えなど解る筈がなかった。
時刻はとうに日付が変わって、公演二日目である日曜日になっていた。
深夜三時を過ぎても、体の疲労感に反して、頭だけが冴え渡って一向に眠れる気配はなかった。