サラリーマン讃歌
~ラストシーン~
俺は恭子と向かいあってラストシーンを演じていた。
空見子が来なかったとはいえ、高嶋達の思いに報いる為にも、最後まで全力で演じ抜きたかった。
「私には貴方を愛する資格がないの!!」
常に自信に満ちた表情をしていたヒロインが、恋する事に恐れをなして怯えているただのか弱い女である様子を迫真の演技で恭子が演じている。
過去の恋愛でこっぴどくフラれ、自分自身を傷付けない為に、常に虚勢を張る事で他人を近付けない様に生きてきたヒロインだったが、主人公の真っ直ぐな気持ちに戸惑う様に叫んだ言葉である。
「愛する事に資格なんて要らねえよ!!恋は頭でするもんじゃねえんだよ!ココでするもんだろ!」
俺は間髪入れずに、恭子に負けない勢いで叫びながら、右手の親指を使って自分の心臓辺りを力強く示した。
俺はただ主人公になりきって、ヒロインである恭子の顔を食い入る様に見続けた。
俺の視界には、涙で目を潤ませながら、俺を見据える恭子の顔しか写っていなかった。
「……何で……何で私なの?貴方に……あんな酷い事を言ったのに」
空見子が来なかったとはいえ、高嶋達の思いに報いる為にも、最後まで全力で演じ抜きたかった。
「私には貴方を愛する資格がないの!!」
常に自信に満ちた表情をしていたヒロインが、恋する事に恐れをなして怯えているただのか弱い女である様子を迫真の演技で恭子が演じている。
過去の恋愛でこっぴどくフラれ、自分自身を傷付けない為に、常に虚勢を張る事で他人を近付けない様に生きてきたヒロインだったが、主人公の真っ直ぐな気持ちに戸惑う様に叫んだ言葉である。
「愛する事に資格なんて要らねえよ!!恋は頭でするもんじゃねえんだよ!ココでするもんだろ!」
俺は間髪入れずに、恭子に負けない勢いで叫びながら、右手の親指を使って自分の心臓辺りを力強く示した。
俺はただ主人公になりきって、ヒロインである恭子の顔を食い入る様に見続けた。
俺の視界には、涙で目を潤ませながら、俺を見据える恭子の顔しか写っていなかった。
「……何で……何で私なの?貴方に……あんな酷い事を言ったのに」