サラリーマン讃歌
第三章
~新入社員~
四月になると会社自体がバタバタし始める。右も左も判らぬ新卒者が、今年は三人採用された。暦の上では既に春なのだが、まだ肌寒い感じがする。
あの日以来、空見子には会っていない。あんな行動をとった自分が妙に気恥ずかしくなり、それ以上の行動を躊躇させた。
そのくせ、四六時中空見子の事を考えて、悶々としている女々しい自分に嫌気がさしてくる。
四月の一日である今日、朝、俺が会社に出社すると、田仲が手招きをしてきた。
「桜井、こいつの事頼むわ」
田仲の横には短髪が良く似合う、スポーツマン然とした男が立っている。緊張しているのか直立不動している。
「今日入社した、久保だ」
「久保 達也といいます!!宜しくお願いしますっ!!!」
見事な腹式呼吸で、近くにいた俺と田仲が顔を顰める程の大きな声で挨拶をすると、俺に向かって深々と頭を下げた。
俺は苦笑しつつ、久保に向かって軽く手を挙げた。
「そんな緊張しなくていいから」
俺の会社は入社日から一週間、新入社員を営業の現場に同行させる。まず、現場の雰囲気を肌で感じてもらう為だ。
次の一週間は社内研修なので、先に現場を体験させると、何もない状態よりは、研修内容が頭に入りやすい。
あの日以来、空見子には会っていない。あんな行動をとった自分が妙に気恥ずかしくなり、それ以上の行動を躊躇させた。
そのくせ、四六時中空見子の事を考えて、悶々としている女々しい自分に嫌気がさしてくる。
四月の一日である今日、朝、俺が会社に出社すると、田仲が手招きをしてきた。
「桜井、こいつの事頼むわ」
田仲の横には短髪が良く似合う、スポーツマン然とした男が立っている。緊張しているのか直立不動している。
「今日入社した、久保だ」
「久保 達也といいます!!宜しくお願いしますっ!!!」
見事な腹式呼吸で、近くにいた俺と田仲が顔を顰める程の大きな声で挨拶をすると、俺に向かって深々と頭を下げた。
俺は苦笑しつつ、久保に向かって軽く手を挙げた。
「そんな緊張しなくていいから」
俺の会社は入社日から一週間、新入社員を営業の現場に同行させる。まず、現場の雰囲気を肌で感じてもらう為だ。
次の一週間は社内研修なので、先に現場を体験させると、何もない状態よりは、研修内容が頭に入りやすい。