サラリーマン讃歌
じゃ、せめて生活費くらいは俺にも出させてくれという事で、以前住んでいたワンルームマンションは引き払い、今住んでいる2LDKのマンションで同棲を始めたのだ。

空見子はあまりあの九ヶ月間の話はしたがらなかったし、俺も無理に聞くような事は一切しなかった。

空見子がたまにポロリと言う言葉などを繋ぎ合わせると、彼女名義で父親が貯めていたお金を当初は遣いつつ、バイトをしながら食い繋いでいたようだ。

その生活の中で、保育士になるという夢も持つようになったそうだ。

俺達はお互いを思いやり、時にはお互いを励ましあいながら、幸せな生活を日々送っていた。




俺は車を走らせながら、何気なく空を見上げた。




雲ひとつない、青く、抜ける様な空だった。




何もかもを包み込んでくれるような優しい青空だった。





そう……まるで、あの笑顔のような…………





《完》
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