サラリーマン讃歌
「そうっすよ。でもいいですよ、彼女の話なら何回しても」
久保はそう言うと、頬を緩ませた。余程彼女のことが好きなんだろう。
「彼女の写メ見ます?」
俺達の返事を聞きもせずに、素早く携帯を取りだすと、写メをだそうと操作している。
そういえば、この間は恋愛の話を突っ込まれるのが嫌で直ぐに話題を変えたような気がする。
「この子っす」
携帯の画面をこちら側に向け、久保は印籠の如く俺達の前に突きだした。
そこには制服を着た、可愛らしい感じの女子高生が笑顔で写っていた。
「可愛いでしょ?」
「マジ可愛いじゃん」
高嶋はなぜか嬉しそうに久保の肩を叩いた。若い子には弱いので、女子高生というブランドにやられたんだろう。
久保の彼女は、彼と同じく健康的な小麦色の肌をしており、体育会系を想わせる。
可愛らしさの中にも、芯の強さを窺わせる大きな眼が印象的だ。
「でも、犯罪だな。女子高生と不純異性交遊をするなんて」
「何言ってるんですか?俺まだ二十歳っすよ。三歳差なんだから、全然釣り合いとれてるでしょ」
久保は専門学校を出たばかりなので、当たり前のことなのだが、自分との年齢のギャップを改めて感じた。