サラリーマン讃歌
「若いねぇ、久保は。ま、俺達だったら完全に犯罪だけどな」
そう言って笑う高嶋をよそに、俺は笑うことが出来なかった。自分の事を云われているようだったので……
(俺とだったら、十二以上も離れてるもんな……)
そう思うと溜め息しか出てこなかった。
「どうしたんすか、桜井さん?」
そんな俺の様子を目聡く見付けた久保は、さも不満そうな顔で見てきた。俺の彼女の可愛らしさがわからないのかと云わんばかりに……
「あっ、わかった!俺の彼女の可愛さに溜め息をつきましたね。あまりの可愛さに」
……コイツのノー天気ぶりが羨ましかった。俺はただ苦笑するしかなかった。
「お二人とも気にいって頂いたようなので、今度また連れてきますね」
久保はそう言うと、俺達の反応に満足したように、グラスに残っていたビールを、グィっと喉に流し込んだ。