サラリーマン讃歌


(毎日、毎日…)

毎日繰り返される、変わりばえのしない生活に飽々していた。社会人に成り立ての頃は、これからの未来に思いを馳せて、多少の希望は見出していた。

だが、社会の荒波に見事に揉まれ、上司との軋轢、同僚との不和に耐えきれる程大人に成りきっていなかった俺は、二度転職を繰り返してきた。

そして、三度目の就職になる今の会社に行き着いて、五回目の冬を経験した最近では、多少の希望も諦めの様な感情に変わってしまっていた。

『まもなくーー駅。お降りの方は…』

車内アナウンスが流れ、程なくして駅に着く。扉が開くと一気に人の濁流ができて、自分の意思とは無関係に扉の外へと追いやられる。そのまま流れにのって駅の改札に向かう。

駅を出て会社へは五分程の道のりだ。会社に向かって歩を進めていくにつれて、それに反比例するかのように憂鬱になってくる。

だが無情にも会社の入っているテナントビルに着くと、自動扉をくぐり、会社へのエレベーターのボタンを押した。

エレベーターを降りて、会社の扉の前で来ると、一度立ち止まり、気怠い気持ちを誤魔化す為に気合いを入れて扉を開けた。

いつもと変わらぬ、マンネリ化した日常が始まる。

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