サラリーマン讃歌

~メアド~

俺達は温泉に入ってマッタリした後、食事を済ますと家路に着いた。

はしゃぎ疲れたバカプッルを後部座席に押し込めると、帰りは俺が運転することにした。出発して程なくすると、後ろから鼾声が聞こえてくる。

「早いなあ、寝るの」

「あんなにはしゃいでたら、疲れもするわよ」

そう言って梓の寝顔を見る空見子の顔は、母親の様だった。

「そういう空見子ちゃんも、結構はしゃいでた様に見えたけどな」

笑いながら言うと、空見子は怒ったような顔をして反論してくる。

「そんなことないわよ。サクくんだって、年の割りには楽しんでたじゃない」

「楽しかったよ、俺は」

素直な感想を口にすると、空見子は予想していなかったのか口籠ってしまった。

「最初は年が離れ過ぎてるから、浮くんじゃないかって不安はあったけどな」

俺がそう言った後、暫しの沈黙があったので、信号待ちをしていた俺は不安になって空見子の方を見る。

「……サクくんってなんか不思議な感じなんだよね」

空見子が呟く様に言うと、此方を振り向き、視線を合わせてくる。

「なんか良い意味でも、悪い意味でも、あんまり年が離れてるって思わないし」

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