サラリーマン讃歌
第六章

~子供のように~

五日の昼を過ぎたので、待ち合わせ場所の駅前に向かうことにした。

手には約束の品であるDVDが握られており、それ以外には何も持たなかった。

二時に約束していたので、早めに着いてしまった俺は、近くのコンビニで立ち読みをして時間を潰していた。

「サクくん」

後ろから声をかけられ、振り向くと空見子が立っていた。

「あれ、早いな」

「サクくんもね」

「おじさんだから、俺」

「意味わかんないよ」

笑顔を見せる空見子を促してコンビニを出ると、とりあえず駅に向かって歩きだした。

「何処か遊びにいかない?」

「何処に行くの?」

「じゃ、動物園とかどおよ?」

以前の会話の中で彼女が動物園が好きだと知っていた俺は、迷わず行き先を告げた。

「うん。いいよ」

目的地の駅までの切符を二枚購入すると彼女に手渡した。

財布からお金を取り出そうとする空見子を手で制すると、彼女の手を取り、歩きだした。

「いいの?」

手を繋いで歩いてる事を気にする様子もなく訊いてくる。

「それぐらい出すよ。ってか今日は無理矢理誘ったんだから、俺が全部だす」

「じゃ、お言葉に甘えます」

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