サラリーマン讃歌
「ホントだよ。あんまり興味がないってのもあるけど、中学校から女子だけだったから知り合う機会も少なかったし」
複雑な気分だった。嬉しい反面、男性に興味がないと言われ、軽く振られた気分を味わった。
「でも、結構ナンパされたりするでしょ?」
「確かに多いけど、絶対に相手にしないもん。基本的には無視」
「あれ?じゃ、なんで俺の時は相手にしてくれたの?」
「えっ?……あの時、なんかサクくんが真剣な目をしてたから……かな」
空見子は何か考える様に、少し首を傾げながら答えた。
「真剣な目?」
「そう。凄い真剣な目」
そう言った空見子はその時の光景を思い出したのか、プッと吹き出す様に笑った。
「何笑ってんの?俺、そんなへんな顔してた?」
「そんな事ないよ。でも必死さは伝わってきた」
改めて言われると、もの凄く恥ずかしくなってきた。自分でも判るぐらいに顔の表面温度が上昇してきている。
「悪かったな。おじさんが必死で」
「アハハ、でもなんか可愛かったよ」
「可愛いいって、お前……誉め言葉じゃないぞ、それ」
「誉め言葉だよ。だって好感持てたもん」
今度は空見子が赤面する番だった。
「うわ……何言ってんだろ、私」