サラリーマン讃歌
俺達はカウンターに座ると、飲み物を各々注文した。

「で、どうなんだ、女の方は?」

「女って?」

突然の質問に俺の頭がついていかなかった。

「前に言ってただろ。お前が惚れたって子だよ」

「ああ……」

高嶋には一度相談して以来、その後の進展などはまだ一切報告していなかった。

「何だよ、その反応は?まさか、まだ何もアプローチしてないのか?」

「いや、遊びに行ったよ」

「おぉ、やるじゃん。三十なのにナンパしたんだ」

「出来るかよ、ナンパなんて」

高嶋の短絡的な考えに思わず苦笑する。

「じゃ、どうやって知り合ったんだ?拉致でもしたか?」

「んな事するかっ!久保の彼女の友達だったんだよ」

「嘘っ!すげぇ偶然だな。へぇ、そんな事もあるんだ…………ん!?」

何かに気付いた様に高嶋は、大袈裟に眉間に皺を寄せて考える素振りをしている。

「んん~~、あのぉ~~、ひとつ訊いてもいいかい、桜井君?」

態とらしく顎を扱きながら、妙に間延びした言い方で高嶋が尋ねてくる。

「なんだよ?」

「確か久保君の彼女は高校生だったよね、桜井君?」

「そうだな」

「と言うことは、何かい、君が惚れてるちゅう子は高校生なのかい?」

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