サラリーマン讃歌
「そりゃそうだけど……」
確かに高嶋の言う通りなのだが、心の迷いはまだ完全には消えなかった。
「そりゃ高校生なんて一般的には我儘だろうし大変だとは思うよ。でも、それは誰が相手だろうと、年が近かろと相手次第だろ」
「まあな」
高嶋の熱っぽい口調に思わず頷いてしまう。
「だったら後はお前がその子と付き合いたいのか、付き合いたくないかだろう?」
「うん……」
「まだ付き合ってもないのに先の事なんか考えんなよ」
高嶋は俺の肩に手を載せてくると、真っ直ぐに目を見詰めてきた。
「自分の気持ちに正直になれ、直哉」
「……そうだな」
「玉砕したら俺が風俗に連れて行ってやる!」
俺は思わず苦笑するが、隣の席で一人で大笑いして俺の肩を叩いてくる親友に心の中で感謝した。