サラリーマン讃歌

~一抹の不安~

空見子からのメールは毎日来ていた。

彼女から送ってくるメールは然程多くはないのだが、一旦やりとりが始まると結構長い間メールが続く。

GWが明けてから既に三週間程経っていたが、そのメールが途絶えることはなかった。

告白を考えていた俺は直ぐにでも会おうと思っていたのだが、仕事が忙しくなかなか会う機会を作る事が出来なかった。

あの田仲との一件以来、俺は何かに取り憑かれたように仕事をしていた。

今後自分自身どうして行きたいのかを見極めたかったのだ。

この会社で上を目指してやっていくのか、それとも違う会社に転職するのか、或いは自分自身の夢に生きるのか。

こんな俺でも夢はあった。学生の頃演劇をやっていたのだ。

演劇で食っていこうと思った時期があったが、フリーターになろうとしていた俺に親が猛反発してきた。

仕方なく就職しながらに続ける道を選んだが、片手間に続けられるほど社会も夢も甘くはなかった。

何もかも中途半端にしていた俺は、何もかもが中途半端になってしまっていた。

その内俺は結婚する事となり、夢を追いかけるどころではなくなってしまった。

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