サラリーマン讃歌
今までこんな中途半端だった俺だからこそ、今の会社に賭ける思いもかなり強かったのだ。

その思いを忘れ、最近無気力状態だった俺の目を覚ましてくれたのは、あの田仲だった。

言い方はキツイがあれが彼の優しさなのだろう。

そんな仕事の鬼になっている俺には、彼女から来るメールが仕事への活力となっていた。

会えなければ会えないほど、彼女への気持ちは募っていくばかりだった。

そんな中、久保は梓からの情報を逐一報告してくれていた。

「梓が脈はあるって言ってましたよ。あんなクミちゃんは初めてだって」

久保から聞く梓の話によると、今まで空見子は男性とのメールは殆んど続かなかったそうだ。

というよりもメールを返すこと自体あまりしなかったようだ。

そんな話を聞かされると素直に嬉しかったが、俺には一抹の不安を消しさることは出来なかった。

何か空見子がこれ以上踏み込むのを怖がっているような、そして何か隠しているような気がしてならなかったのだ……

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