サラリーマン讃歌
第八章

~秘密~

二日酔いの体に鞭打って、休み明けの月曜日から仕事に没頭した。

昨日は飲めもしない酒を浴びる様に飲み続けた。

酒自体が好きではない俺も、何かに依存しない事には正気を保てそうになかった。

流石に俺の異様に蒼白い顔を見て、高嶋も心配そうに声をかけてきたが、俺は大丈夫の一点張りだった。

俺はただひたすらに仕事に打ち込んだ。




金曜日までの間、誰とも関わることなく仕事に明け暮れた。

高嶋や久保とも会話をほとんどすることなく、会社と自宅を往復するだけの一週間だった。

元来あまり物事を深く考える質ではなかったので、これほどまでに失恋を引きずったことはなかった。

正直、自分自身でも今のこの感情を持て余していたが、どのように対処していいかも解らなかった。

そして週末の金曜日である今日も、仕事が終わると人目に付かないように、サッサと会社を出ようとしていた。

「直哉、飲みに行くぞ」

俺に近付いて来るなり、有無を言わさぬ口調で高嶋が言った。

「……悪い、今日は疲れてるんだ」

高嶋とは目を合わさずに素っ気なく言う。

「いいから来い」

「ちょっ…」

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