双子ちゃんの探偵事務所
すると陽太が口を開いた。

「どうして何もしなかったんですか?

そこで人工呼吸…フガッ」

セーフ!! オレは嫌な予感がして咄

嗟に陽太の口を手でふさいだ。

「言いたいことはよ~く分かった」

オレはいったん言葉を切って小声で話

した。

「ちょっと陽太。ディア達が居る所で

そういう話はしないでよね」

「じゃあムラ…」

「わーわーわ!!」

大声を出してオレは陽太の言葉をさえ

ぎる。

「? どうしたの、カズ?」

ディアがさすがに気になったのか、こ

ちらを振りむいて言った。

オレは、

「あっえーと、そうそう、急にお腹が

減っちゃったんだよ。だからもう

寝るね」

と赤ちゃんでも嘘だと見破れるような

嘘をついた。

ディアは首をかしげて、

「お腹が減ったのと寝るとの関係は無

いと思うけど、お休みなさい」

とアリスの顔を見ながら言った。

あれれ? いつもはもっと突っこむの

に、今はあんまり突っ込まなかったな

あ、とオレはディアに軽い疑問を抱いた。

ま、理由はアリスが倒れたから心配でって

事にはすぐに気がつくんだけどね。

「では私も寝ますかな」

陽太もそう言って立ち上がった。

「あら陽太も?」

陽太は苦笑いして口を開いた。

「あんまりディアさんと一緒にいると

あのヘタレが怒るからね」

そういえばいつの間にか三月はいなく

なっていた。
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