赤い鈴
じゃなかった。今はこの子を保健室に

連れていくことが優先だ。

「僕が連れていきます」

有川さんはそう言って、その子を軽々

と背負って保健室に向かった…はずだが。

「あの……すいません。保健室はどこ

でしょうか?」

っておい! 保健室知らんのかい!!

「えーと…確か…あれ? えっと…」

どうしよう! 私保健室利用したことな

いから場所分かんないよ~!

「保健室はここを右に曲がったところです」

さすが希衣菜!!

保健室の場所を知っているなんて……。

そんなこんなで保健室にとうちゃ~く!

ハイ、ちょっとテンションあげて思いました。

「あら? どうしたの?」

保健室の先生はまだ事件のことを知らないみ

たいだ。

「ちょっと倒れてしまいまして…」

希衣菜が目線を下げて言った。

なぜ?

保健室の先生は目をうるうるにさせて、

「まあ! こんな可愛い子が? それは

大変ね。とりまベッドに寝かせてあげて」

と言った。

有川さんは頷いて、空いているベッドに

倒れた子をそっと寝かせた。

保健室の先生は脈を測ったりして貧血と

いうことを教えてくれた。

「そういえばこの子初めて見たなあ」

「確かに! リボンが赤だから、1

年だよね」

「うむ」
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