PM13:00 2
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SHR後の休み時間。
不意に気配を感じて、机に肘をつけ掌に頭を乗せて俯いていた顔をあげると、五十嵐亜美の大きな瞳と目があった。
「あ、あの、七澤君。劇…お互い頑張ろうね。」
五十嵐はそう言って照れたように笑って、掌を出してきて。
「…ああ」
小さく頷いてそれを握る。
五十嵐も、軽く握り返してきて、
俺は手を離そうと力を緩めた。
しかし
ぎゅっと、俺の手を握る五十嵐の手に、力が入った。
見上げると、五十嵐は変わらずはにかんだような笑顔で―いや。
…何か、違う。
俺は五十嵐の笑顔に陰を感じ、眉を顰めた。
…なんだ、こいつ。
「私、ずうっと、七澤くんのことを尊敬してて。だから、今回のこともすっごく嬉しいの」
そう言って
気味の悪い甘さを含んだ瞳で見つめてくる。
俺は目を細めて、口端だけで笑い返した。
「………どうも」