PM13:00 2
目一杯背伸びをして、そこに手を伸ばす。
……届かない。
試しにジャンプしてみたけれど、同じだった。
ため息をついて、ぐるりと部屋の中を見渡す。
隅に置かれた背もたれの無い椅子が目に入り、それを掴んで引き寄せた。
相当古いものなのか、木製のその椅子はところどころ木が剥げていて、片足を乗せただけでギシリと音が鳴った。
少し不安ではあったが、一瞬だけだ、大丈夫――そう思って、えいっと両足を乗せた。
……それが、間違いだった。
箱に向かって伸ばした手が、それに触れる寸前
ばりっという音が足元から聞こえ、
ぐらりと視界が揺れた。
「……!!」
落ちる……!!
ギュッと目を瞑り、反射的に両腕で頭を庇う。
…が、
いつまでたっても、冷たい床に当る鈍い痛みはやってこなかった。
しかし背中に別の何かが当っている感覚がして、怪訝に思いおそるおそる目を開く。
視界に入ってきたのは、私の上半身に重ねられた両腕。
「……危ないな」
耳元で聞こえた、その声は。
「七澤…?」