PM13:00 2
私と七澤のこの関係が、私には分からない。
友人なのか、ただのクラスメートなのか。
可能性があるものといえばそれぐらいだけれども、どれだけ考えても、そのどれも何処か違うような気がしてしまう。
だが、彼が、そうして寂しげな顔をするときはいつも、頼ってほしい、と思ってしまうのだ。
何か辛いことがあるのなら、私を頼って欲しい、と。
自分でも、自覚はしていた。
私は、この関係が知り合い以上のものであることを望んでいるのだ。
もしかしたら。
七澤は今、私を抱きしめることで「頼って」いるのかもしれない。
そうすることで、彼が抱えている何かが、もしかしたら少しだけでも軽くなるのかもしれない。
だが欲張りな私は、更に思うのだ。
…その理由が知りたい、と。
けれども関係もあやふやな私がこれ以上彼の中に踏み込んでもいいのかと思ってしまう。
彼が理由を口にしないのもまた、そこに何かがあるような気がした。
きっと人は、他人に言えないことの一つや二つ、抱えているものなのだ。
他人の心に触れるということは、それ故に慎重でなければいけない。
しかし頭の中ではそう思うのに、七澤が私の知らない表情をするたびに、私は心に穴が開いたような気持ちになっていた。
まるで、私と七澤の間に境界線があるようで
妙な焦りと不安が、心を埋め尽くした。