PM13:00 2


「びっくりしちゃったあ。七澤くんて、あんなことをする人なのね」

ふふふ、と小さな笑い声が耳に届く。

この笑顔で大抵の男は落とされるのかもしれないが、俺は上がった口角と細められた目に、ぞくりと鳥肌が立った。

不気味さに眉を顰めた俺を、五十嵐はさらに、笑う。

そして間合いを詰めて、俺の頬のあたりに長い手を伸ばした。

「ねえ、七澤くん」

―……甘い香りが、鼻をくすぐる。

気持ちが悪い。

こちらを真っ直ぐに見つめるアーモンド色の眼が、きゅうっと細められた。



「安藤さんの事が、好き?」
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