PM13:00 2


ゆっくりと視線が上がり、目と目が合う。

瞬間、その目が大きく見開かれて、安藤が口をぱくぱくし始めた。

首を傾げると、安藤は机を隔てて立つ俺の腰のあたりに、両手で持った弁当箱をずいっと差し出してきて。

俺は、安藤のいつもとは違う様子に戸惑いながらも受け取ろうと手を出した。


すると、見慣れた花柄に指先が到達する前に安藤の口が動いた。


「きょ、今日からは、別々に食べよう!!」


真っ赤な顔で、叫ぶようにそう言って――



「はあ?」


俺は思わずそんな間抜けな声を出し、顔を歪めた。


何で、と聞く前に、ガタンと大きな音を立てて椅子から立ち上がった安藤は、真っ赤な顔をしたまま額にビシっと手を当て敬礼して。

「それじゃ!!」


と、またデカイ声で言うと逃げるように教室から出て行った。




…教室で、ひとり。


弁当箱を手に呆然と立ち尽くす、俺を残して。







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