PM13:00 2
「なんだか、会長、丸くなりましたよねえ」
机に積み上げられた山積みの計画書を、長い指でとんとんと叩きながら、逢沢が口を開いた。
俺はそれに応えずに、黙々と手を動かし、各クラスの計画書に目を通していく。最終チェックは生徒会長の仕事なのだ。
ひとつひとつ、違反がないか、抜けがないかを確認しなければならない、この作業。
さっきから苛々が増すばかりで、口元をニヤつかせてそんなことを言い、横から絡んでくる逢沢に、軽く殺意を抱いた。
逢沢は俺の返事などはじめから期待しないように、そのままべらべらと喋り続ける。
「前よりも仕事をするようになりましたし、本当になんというか、キレなくなりましたね。
でもやっぱり僕としては、あの、弱きものを助け…もとい“強きものを助け弱きものを挫く”、鬼畜な会長もなかなか好きだったんですけどねえ。
まあ、あの安藤すみれがいったいどんな技を使ったのか知りませんが、」
「―…おい」
そう、思い切り横目で睨んでやると、逢沢はにっこりと笑って見せた。
「そう、その目がいいんです」
……変態か、こいつ。
目を糸にし、俺は深くため息をついた。