PM13:00 2
その時、ガラリと教室の戸が開けられる音がして。
「会長!」
と背後から俺を呼ぶ声がし、立ち尽くす俺の肩にポンと掌が乗せられた。
振り返らなくても、それが誰かは分かっていた。分かっていたから振り返りたくなかった。
―…こんな時に。
心の中で毒づくと、背後に立つ相手は愉しげに笑った。
「今日は、例の――規定に違反した2年4組の件で昼から集まりますから、その確認なんですけど―って。あれ、会長、一人ですかあ?もしかして安藤にフラれ……」
背中を向けたまま何も言わない俺の姿に何か察したのか、ぷつりと逢沢の声がそこで途切れて。
嫌な予感がしながら眉間に皺を寄せ振り返ると
哀れみに満ちた二つの眼が、こちらを生暖かく見つめていた。
……時間が巻き戻せたら。
そんなことを、一瞬本気で思った。