PM13:00 2
……なるほどなあ
私はうんうんと頷きながら、斜め後ろの席の七澤に視線を向けた。
彼は眉間に深い皺を刻み、姫役の隣に書かれた「王子役 七澤総司」という文字を凝視していた。
入学式でのことが頭を過ぎり、くすりと笑いが漏れる。
…「王子」も、大変なのだな。
私の視線に気付いた七澤は、険しい表情のままこちらと視線を合わすと、深くため息をついて
「……柄でもない」
と、小さく零した。
「そうか?…私は見てみたいぞ。七澤王子」
笑いを含んでそう言うと、七澤は何故か途端に表情を変え、真剣に考えるそぶりをして少しの間をおき
視線を送っていた委員長に向かって、小さく頷いて見せた。
その変わりように目を見開いて七澤を見ると、彼は困ったように眉を下げていて。
惜しみない拍手に、顔を引き攣らせて笑うのだった。