PM13:00 2


……なるほどなあ

私はうんうんと頷きながら、斜め後ろの席の七澤に視線を向けた。

彼は眉間に深い皺を刻み、姫役の隣に書かれた「王子役 七澤総司」という文字を凝視していた。

入学式でのことが頭を過ぎり、くすりと笑いが漏れる。



…「王子」も、大変なのだな。




私の視線に気付いた七澤は、険しい表情のままこちらと視線を合わすと、深くため息をついて

「……柄でもない」

と、小さく零した。

「そうか?…私は見てみたいぞ。七澤王子」

笑いを含んでそう言うと、七澤は何故か途端に表情を変え、真剣に考えるそぶりをして少しの間をおき


視線を送っていた委員長に向かって、小さく頷いて見せた。


その変わりように目を見開いて七澤を見ると、彼は困ったように眉を下げていて。



惜しみない拍手に、顔を引き攣らせて笑うのだった。







< 8 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop