僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
……ふーん。よく分かんないのは変わんねぇけど、お互いがかわいくて仕方ないってのは、見てればなんとなく分かるな。
「さっ! 準備しようかってか、お腹空いた〜。なんかない?」
寝坊しといていい御身分だなオイ。
立ち上がって、俺の背中を押しながら部屋を出る凪に思う。
「有須が炒飯作ったけど」
「やった! ありがとう有須~っ!」
「ふ、ふつうの炒飯だよ!?」
「……早く食べよ」
4人でリビングに戻ると、有須が「ちょっと待ってね」と冷めた炒飯をレンジで温め始めた。
凪と彗はダイニングテーブルのほうでそれを待ち、俺はソファーに座ってテレビを観る。
「ふたりはもう食べたの?」
「当たり前だろ寝坊助」
「祠稀く〜ん。それってあたしのことじゃないよね〜?」
ソファーに座る俺の背中に、トゲのある言葉が突き刺さる。
俺は振り向くことなく、鼻で笑った。