僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「俺が入学するまで、コイツら含んだ問題児に頭悩ませてたんだろ? よかったな先生、もう何も起きないぜ?」
「……」
青ざめる先生に構わず、祠稀はフラフラと立ち上がった4人の先輩を見据える。
「というわけで、ガラス代の請求は……払うよな? 先輩」
「……くそ」
悪態すらまともにつけない上級生に、祠稀は満足そうに笑って教室に戻っていった。
「有須ー。飯っ」
あたしと彗は顔を見合わせたけど、彗は両肩を少し上げるだけで教室に戻ってしまう。
「……夢虹、一体あいつはなんなんだ」
先生にそう訊かれたって、苦笑いするしかなかった。
「学校を平和にしたかったとかじゃないですか? ……失礼します」
頭を軽く下げて教室に戻ると、ついさっきこの学校のトップになった祠稀が無邪気に笑っていた。