僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「席着けー! 始めんぞー」


担任が教室に入ってきたことで、俺たちを含むクラスメイトが席に着く。一列ごとに男女交互になる席順で、俺の左隣は凪だ。


窓際の1番後ろの席で、凪は気怠そうに携帯をいじってる。


「今から配るの保護者プリントだから、ちゃんと渡せよ〜」


俺の前の前の席に座る祠稀は、回ってきたプリントから自分の分を取らずに後ろに回した。結果、1番後ろの俺にプリントが2枚来てしまう。


……祠稀のボケ。


凪を見ると、破いて正方形にすると折り紙にしていた。挙句「見て彗。鶴」と小声で話しかけて来る始末。


「保護者プリントだって聞いてなかったの?」

「だって大した内容じゃなかったよ。何かPTAのお知らせみたいな」

「……鶴にしては脚太くない?」

「あ、折るの忘れてた」


ふと1番廊下側の列、前から3番目の有須を見ると、ジッとプリントを読んでから丁寧に折り畳んで鞄に入れていた。


……ここまでバラバラな行動も有る意味凄いな。


そう思いながら、俺は2枚のプリントを乱暴に机の中へ突っ込んだ。

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