僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
でも、この募集人が本当に凪なら、決心しなきゃ。
たくさんのことを思い返して、心に刻んで、決めなければいけない。
だけど本当はそんなことより先に、逢いたいと思った。
記憶を掘り返すたびに現われる凪の姿が鮮明すぎて、あの笑顔をもう一度見たいと思ってしまった。
記憶の中じゃなく、現実で。
……逢いたい。
もう一度そう思った瞬間、携帯を取り出して一度も送ったことがないアドレス宛てにメールを作った。
すぐに表示される、メール送信完了の文字。
間違いじゃない。この募集人は凪だと、絶対的な確信さえあった。
そう信じたかっただけかもしれないけど、アドレスが変わっていない事実に『待ってた』と言われた気がした。
≪凪、久しぶり。≫
薄れていた感情が、ふつふつと湧き上がる。
身勝手な俺を、凪はどう思うだろう。『待ってた』なんて、俺の願望でしかないかもしれない。
……それでも夢見てやまないんだ。
また一緒に住める、苦しくも幸せな日々を。
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