僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「ごっそさん」
「うん。あとで一緒に洗うから、流しに置いとくだけでいいよ」
「おー」
立ち上がりながら返事をして、皿をシンクに置く。そのまま冷蔵庫を開けてペットボトルの炭酸水を取り出すと、ごくごくと喉を鳴らしながら飲んだ。
……なんだっけ。洗濯物干すんだっけか。
「凪。干すやつって洗濯機の中?」
ペットボトルのキャップを閉めながらキッチンを出ると、凪はスプーンを口に入れたままバルコニーを指差す。
「ああ、あれね」
バルコニーの前に洗濯物が入った籠を見つけて、そこへ足を進めた。籠を持ってバルコニーに出ると、4月の穏やかな風が髪を揺らす。
寝起き後の満腹感と相まってか、俺の体か喉か何かが煙草を欲した。
わざわざリビングに戻らなくても、バルコニーと俺の部屋は繋がってるから便利だ。
鍵をかけていないままのドアを開けて部屋に入り、テーブルの上にあった煙草を1本咥える。
火を付けてから再び外へ戻ると、そういえば凪の部屋もバルコニーと繋がってるんだよなと思い出した。
……どうりで、俺が夜中バルコニーに出てることに気付くわけだ。
そっからどうすれば俺が悩んでるのかもっていう思考に辿り着くのかは、分かんねぇけど。