僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
俺は元々夜行性だから、深夜2、3時に寝るのはいつものことだ。
そんな時間にバルコニーに出る俺に気付いてたってことは、凪も起きてたってことになるけど、深い理由はないだろ。
あったとして、俺はどうにかしようとは思わない。
こんなこと言ったら、冷たい人間とか言われるのかねぇ……。
手すりに肘をつきながら、ぼーっとそんなことを考える。
いつも明るい凪が何かに悩んでるなんて全く想像できないし、したくもねぇ。もし何か悩んでることがあるなら……なんて、考えてもしょうがない。
俺にできることなんか限られていて、そのやり方でさえ正しいのかも分からない。
だけど、もし頼られるようなことがあるなら支えてやろうと思う。
とても曖昧で、確かな気持ちじゃねぇけど。
「祠稀! サボるな!」
「ハイハイ。やります、干します」
突然バルコニーを覗きに来た凪に棒読みすると、呆れた表情を向けられる。
「はぁ……もう、煙草吸ってからでいいよ」
やれやれと言った感じの凪はリビングに消えて、俺は空を仰いだ。
青空に映える白い雲。容赦なく降り注ぐ太陽の光。どちらも好きじゃない。
……1日中、夜だったらいいのに。
俺の目には確かに街並みが映っていたのに、頭に入ってくることはなかった。
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