僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「返事きた?」
朝8時、お母さんが湯気の立つ紅茶を持って部屋に来た。
「ううん、まだ」
「そう……。有須が興味持ったなら、そこがいいんだろうけど……少し、心配ね」
ピンクのテーブルに紅茶を置いたお母さんに合わせて、ベッドからテーブルの前へ腰掛ける。
「大丈夫だよ。一度会ってから同居するか決めるってことみたいだし……会ってダメでも、また別のとこ探すから」
マグカップに手を伸ばしながらそう言うと、お母さんの視線を感じた。
「そうね。家から通えないこともないけど、やっぱり近い方がいいだろうし……入学する前には引っ越し終わるといいわね」
声から寂しさが伝わってきて、何とも言えない気持ちが込み上げる。それでもあたしは顔を上げて、笑みを浮かべた。
「なかなか会えなくなるけど、頑張るから」
お母さんは悲しそうにしながらもあたしの「頑張る」の一言で微笑み、部屋を出て行った。