僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「来る者拒まず、去る者追わずの祠稀には理解できないでしょうから教えない」
「はぁああ!? 喧嘩売ってんのか!」
「け、喧嘩しちゃダメ!」
携帯を胸に抱いたあたしと、身を乗り出した祠稀の間に割って入ってくれる有須に感謝。その隙に彗が、絶妙なのか微妙なのか分からないけど、フォローを入れてくれる。
「照れてるだけ……照れ隠し。ね?」
「別に照れてないし!」
首を傾げて同意を求めてきた彗から顔を背け、立ち上がる。
「誰でもいいから、先にお風呂入っちゃってね!」
それだけ言って自室に向かったあたしの背後で、「じゃんけんする?」という彗の声に、心の中でありがとうと呟いた。
部屋に入り、ベッドに腰掛ける。ドキドキとうるさい胸を抑えて受信メールを見た。
「………ふっ」
メールの内容に、思わず笑みが零れる。
なんて、バカなことを。
短い、たった一文のメールを繰り返し読むことはなく、返信ボタンを押した。白紙の本文には、カチカチとボタンを押す度に文字が出てくる。
大して長くない文章は、1分もかからずに打ち終わった。
≪あたしは会いたくない。≫
大切な君へ、残酷なメール。