僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

◆Side:彗


ローテンポの洋楽が、部屋に響き渡る。英語で歌われるその曲は、歌詞が切なかった。生まれ変わったら、次こそは上手く生きるのに……そんな歌詞。


まるで、俺のことを言ってるみたい。


時刻は深夜1時。最後に風呂に入った俺は髪も乾かさずにベッドに寄りかかり、メールを見つめていた。部屋の電気は点けず、ブラックライトの照明だけが部屋を朧気に照らす。


≪会う時間を設けてほしい≫


返信することはなかったのに、その後も何度かメールが届いた。


≪お願いです。話がしたい≫

≪君にしか頼めないことなんだ≫

≪助けてほしい。お願いだ≫


何度メールが届いても、返信する気は微塵も起きなかった。話の内容なんて、容易に想像できたたから。


俺に会いたい、話がしたい、俺にしか頼めない、助けて欲しい。


……バカなのかな。そんな嘘臭い言葉を並べて、優しく言ってるつもりなのかな。


見え透いた嘘だ。必要なのは“俺”じゃない。


“金を持ってる俺”だ。
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