僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
……ごめんね、お母さん。
心の中で謝りながら、何を頑張るのか明確に聞かれなくてほっとする。
あたし自身それを口にしたくないし、例え口にしてもお母さんがどう思うのかあまり知りたくないから。
「あと、2週間ちょっとかぁ……」
机の上に置かれた卓上カレンダーを見ながら、ポロリと口からもれた言葉。
あと3週間もしない内に、あたしは高校生になる。
この家から通えて、自分の学力に見合った高校はいくつもあったけど、電車を乗り継いで2時間掛かる高校を選んだ。
ひとり暮らしをする決心までして、どうしてもその高校に行きたくて……。
だけどあたしは1人娘で、両親にはたくさんお世話になったから、最終進路を決定しなければいけない時まで言い出せなかった。
意を決して告げた時、両親は反対することも理由を問いただすこともなく、ただ微笑んで了承してくれた。
実家から通うよりひとり暮らしの方が何かと楽だろうと、あたしが言うより先にお父さんが言ってくれた時は泣きそうになったな……。