僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
――――…
「彗っ! おっはよーう!」
「……はよ」
日曜の昼前。自室から出ると、すでに起きていた凪が俺の胸に抱き付いてくる。その温かさに癒されて、凪の腰に両手を回し抱き締めた。
「うっふふ〜」
「ちょ……危な……危ない危ないっ」
凪が抱き付いたまま歩き始め、後ろ歩きを強要された俺はソファーの背もたれまで押された。
「彗、あったかい」
「起きたばっかりだから」
ソファーの背もたれの上に腰掛けると、凪は俺の首に腕を巻き付ける。
「……凪?」
「んー?」
どうしたの?
そう聞けずに、小さな背中に手を回した。同時に凪の腕の力も強くなって、俺は凪の肩に顔を埋める。
……あったかい。
昨晩、ぽっかりと開いた胸の空洞が埋まっていくような気分。
そういえば、凪も昨晩“彼”と連絡を取ったんだっけ……。
ああ、だからか。
凪が、俺をこんな風に求めてくるのは。