僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「え? 携帯?」

「うん」


俺のリクエストで、凪が作ってくれたラーメンをリビングのテーブルで食べながら頷く。食べているのは俺だけで、凪は隣に座ってココアを飲んでいた。


「なんで? 壊したの?」


壊れたの?じゃなくて、壊したの?って聞く凪に心底感心する。


たぶん扱い方が雑だからとか思ってるんだろうけど、確かに壊れたんじゃなくて、壊したのは事実だ。


昨日の夜、俺は自らの意志で携帯を真っ二つに割った。


メールを受信する携帯に嫌気が差して、そんなメールに心を乱される自分も嫌で。軽く力を込めただけで、折りたたみ式の携帯はアッサリと割れたんだ。


「食べたら、買いに行く」

「あたしも行く!」

「うん」


微笑むと、「着替えてくる」と満面の笑みを見せてくれた。



晴れた空の下を凪と歩けば、きっと、曇った心も晴れる。


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