僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
なんつーか……うまく言えないけど、妙に嫌な感じがする。人柄とか、雰囲気とか、そんな類のものに関しては、印象はよくない。
リビングのドアを開けたまま突っ立っていると、「失礼」とおじさんとおばさんはリビングに足を踏み入れた。
「適当に座っててください。珈琲入れるんで」
「ああ、お構いなく」
何かしてねぇと俺が気まずいんだよっ!
出かけた言葉を飲み込んで、キッチンへ入った。
「どーぞ」
珈琲と、以前凪が買ってきたクッキーをテーブルに並べる。
「ああ、ご丁寧にどうも」
……で? 俺はどうすればいいわけ?
「彗はいつ帰ってくるかね?」
「どうっすかね。出掛けたばっかなんで、まだ時間かかるとは思いますけど」
「……そうか」
出した珈琲に口もつけないふたりに、元から笑顔なんて浮かべてなかったけど、俺の顔は引き攣った。