僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
おいおい間が持たねぇよ。俺マジで息苦しいんですけど。
だからって部屋に戻んのも失礼だしよ。でもこのまま団欒するなんて無理だしご免だし……。
「あー……彗に電話したほうがいいっすか?」
「……悪いね、頼むよ」
しっかしオバサンのほうは無愛想極まりねぇな!
そう思いながら立ち上がり、ソファーに置きっぱなしだった携帯を拾ってバルコニーへ向かった。着信履歴から彗に電話をかけ、コールが鳴るのを待つ。
「も……」
『この電話は、現在、使われておりません』
はあ!?
待て待て待て! 昨日は使われてたぞ!!
間違えたのかと思い、最初からもう一度彗に電話を掛けたが、流れたアナウンスは同じだった。
「マジか……」
出掛けたって、携帯買いに行ったのか? せめて新規じゃなくて機種変にしとけよ!