僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
ひとりで頭を抱えていたって何も変わらないのは分かっていたが、この状況に耐えられそうにない。それならと思い凪にも電話を掛けたのに、全く繋がらなかった。
ついてねー……、俺。
「すんません。繋がんないっす」
諦めてリビングに戻ると、なぜか俺に不機嫌な顔が向けられる。
「……では待たせてもらうが、構わないかね」
出来れば帰ってくれ。
なんて言えるはずもなく、「どーぞ」と言うしかなかった。
「もしもし有須!?」
案の定5分も耐えられず、俺は洗面所に逃げ込み有須に電話を掛けた。
『祠稀? どうしたの慌てて』
「今どこ! 帰ってこい今すぐっ」
ボソボソと小声で話すが、状況を理解してない有須は呑気に答える。