僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


『もう帰るとこだよ? お昼食べ過ぎちゃってね、夕飯食べられないかも』

「じゃあ走ってこいっ、マッハでカロリー消費してこいっ」

『やだ、本当にどうしたの? 何かあったの?』

「大ありだっつーの! 死ぬ! 空気に殺されるっ」

『あははっ! 何それ~』

笑いごとじゃねぇーっ!!


もう怒りだか焦りだか分からないほど、行き場のない思いに気が狂いそうだ。


「彗の親代わりっつー奴が来てんだよっ。俺にどうしろっつーわけ!」


必死に訴えると、少しは状況が理解できたのか、有須は一瞬口を閉ざした。


『……え? 彗の?』

「そーだよ彗だよ! 凪も彗も携帯繋がんねぇんだよ! 頼むから早く帰ってこい! 空気に耐えらんねぇっ」

『わ、分かった! 急いで帰るからっ、もう少し頑張ってね!』


慌ただしく電話を切る音がして、俺はほっと安堵の溜め息を漏らす。


助かった……。

有須なら走って来てくれてるはず。いや、走ってこなきゃ許さねぇ。

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