僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


ズルズルとドアを背に床に腰を下ろし、深く溜め息を吐いた。


30分も経ってない上に特に何かしたわけじゃねえのに、こんなに疲れることってあんのか。


「……はぁ」


重い腰を上げながら結っていた髪を解いて、もう一度しっかりと鏡の前でひと括りに結び直す。


鏡に映る自分を見ながら、口ピと耳から引くピアスチェーンを付けたままだったことをに気付いた。


……髪も長いし、なんだコイツって思われただろうな。


そんなことはどうだっていいんだけど、あのおじさんとおばさん、なんか嫌なんだよ。


……苦手だ。今リビングに充満する雰囲気も、自分の家を思い出す。


一触即発っていうか……うまく言えねぇけど、張り詰めた重苦しい空気が似てる。


「……」


気持ち悪くなってきた気分を我慢して、リビングに戻った。


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