僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「す、彗って昔からあんな感じなんですか? マイペースって言うか、のんびり屋さん! みたいな……」
そう話題を振ったあたしに、祠稀が呆れたような視線を向けてくる。
ダメだった!? これじゃあバカにしてると思われる!?
「いや、えっと……決して悪い意味じゃなくてっ」
「ああ、今はそんな感じなのかい」
……へ?
「それは、どういう……」
ポカンとおじさんを見ると、言葉を続けてくれた。
「私たちの前では、いっさい笑わない子供だったけれどね」
……彗が? あんなに、優しく笑うのに……?
おじさんはマグカップを手に取り珈琲を口に含むと、よりいっそう眉間に皺を寄せる。珈琲が苦いとか熱すぎたとか、そんなことじゃなくて……なんて言うか、彗のことを話すのが嫌そうな、そんな感じに見えた。
「何事にも無関心で、笑いもしなければ喋りもしない。愛想のない子供だったよ」
「……そ、うだったんです……か?」
言葉に棘がある……気がする。