僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
ウキウキした気分で流し台に皿を置いてからテレビの前に座り、電源を入れる。
──プチッ。
「……」
「ダメだよ凪。テスト前も、テスト期間も、ゲーム禁止」
真っ黒な画面から横を見上げると、真顔でリモコンを手に持つ彗がいた。
「ちょっとくらいイイじゃんか!」
「ダメ」
「い、や、だ!」
あたしに睨まれる彗はハァッ!と、そこまで呆れなくてもよくない?と言いたくなるほど大きな溜め息を吐いて、リモコンをソファーに投げた。
「勉強教えてあげるから」
「頼んでない! 勉強なんかしたくない!」
「凪、言うこと聞いて」
「やだやだ!」と小さい子みたいに駄々をこねるあたしを、彗が眉を下げてなだめてくる。
「いつもと逆じゃねぇ?」
「ふふっ。そうだね」
祠稀と有須がそんな会話をしていたけど、あたしは彗が鬼に見えて仕方がなかった。
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