僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
天井にいくつも設置されたダウンライトや、テレビ台の端に置かれたスタンドライトは、照明としての役目を奪われていた。
静寂な空間に響いていたキーボードを打つ音が止むと、あたしの視線はディスプレイの上を泳ぐ。
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─ 同居人、募集 ─
【募集人数】3名
【年齢】15〜18歳(高校生のみ)※男女問わず
【住所】ドリームマンション7階。
【間取り】4LDK+WIC(ウォークインクロゼット)
※家電付き、各個室有り(鍵付き、洋6~6.5畳)リビング、キッチン、バスルームは共有。
【家賃】月5万円。敷金礼金無し。光熱費、水道代は4分割。
◇下見OK。面接有りで、日にちは要相談。メールいただければ、追ってご連絡します。
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……こんなもん? 短い?
いくつかの写真と募集要項を何度か見直し、余った空白に思いつくまま文章を打った。
「いっか、これで」
後ろにあるソファーに背を預けリビングへ視線を移すも、暗くてよく見えない。
分かるのは、自分以外リビングには誰もいないということ。
それから、今度引っ越すマンションはここよりもっと広いということだった。
そこは、あたしのお城になる。
そう思わなければ、今までの苦労が報われない気がした。
猛反対する親を1年がかりで説得し、中学卒業と同時に家を出て、春からひとり暮らしを始めるのだから。
……本当はもう“始めた”のだけど。まだ引っ越していない。