僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「有須を送るために待ってたの?」
群れから大雅に視線を移すと、微笑みながら俺を見ていた。
……変な奴。俺を前にしても、ビビんねぇなんて。そもそもなんで話しかけてくんだか。
「まあ、一応」
俺は基本的にクラスメイトとサッカー部の奴ら以外とは交流がないから、その他大勢の男子にはビビられてるっつーのに……。
有須の外堀埋めよう作戦か?
「そうなんだ。家、近いんだ?」
近いだろ。一緒に住んでんだから。なんて、言わねぇけど。
「今日は凪んちに集まるから」
「凪ちゃん? そうなんだ。いいね、楽しそう」
うげー……笑顔が爽やか過ぎる。
ボリボリと頭の後ろを掻きながら、さして興味のない対象から目を逸らす。
「つか有須、どーすんの? アンタ、何通?」
有須に聞いても答えが出ないと思い、香織に問いかけると「えっ」と呻かれた。
「電車? バス? チャリ?」
「あ、あたしはバスです! 街の、バスプールのとこで……」
じゃあ途中まで一緒じゃんよ。ていうかなんで敬語。